特集記事 カリスマドクターに聞く! 5つの質問

カリスマドクターに聞く! 5つの質問

タイの医療事情について気になっている日本人の方は多いと思います。

今回は世界レベルの医療施設を持つインターナショナル病院のひとつ、バンコク病院に在籍する人気ドクターに、5つの気になる質問を問いかけてみました。

取材協力:バンコク病院

●インタビュアープロフィール Shinji Sai

バンコク病院国際マーケット担当。趣味は語学勉強(日本語N1、中国語HSK6級、実用タイ語準2級取得)。美容やタイコスメの研究、月に一回は美容皮膚科へ。お勧めの施術はピコレーザー、ボトックス&ヒアルロン酸注射

Dr. Eakachit Sikarinkul

エカジット 先生

整形外科

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

バンコク生まれ。両親は歯科医。マヒドン大学シリラート病院に眼科医として働く姉が1人います。現在、整形外科医として整形外科外傷の分野に従事しており、専門は骨盤と股関節で、2012年よりバンコク病院に勤務しています。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

病院勤務のかたわら、奨学金を得てハンガリー、ドイツ、アメリカに留学する機会があり、患者さんにより良い治療方法を開発するための勉強をしました。世界中の著名な医師たちと一緒に過ごし、会話する素晴らしい機会でした。勉強や仕事だけでなく、海外に住む機会となり、忘れられない経験となりました。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

治療した患者さんが以前と同じようなQOL(生活の質)を取り戻している姿を見るのは、全ての医師にとって幸せなことだと思いますが、僕は整形外科医として、交通事故で両足を骨折した少年のケースをよく思い出します。治療後、彼は好きなスポーツに復帰し、質の高い生活を送ることができています。

Q4 趣味は何ですか?

仕事以外では、ほとんどの時間を家族と過ごし、子どもたちに新しい経験をさせるために国内外を旅行していま
す。バドミントンと水泳も好き。その他の趣味は映画鑑賞、植樹、フィギュア集めなどです。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

医師として生きていくには、忍耐力と、日頃から自分を成長させるための愛情が必要です。優れた治療であることに加え、患者さんに対する理解と思いやりも大事で、最後に、どのような職業に就いても、仕事に愛があれば、毎日が楽しくて幸せなものになると思います。

海外留学の思い出

家族で日本旅行

Dr. Marvin Thepsoparn

マーヴィン  先生

疼痛(とうつう)治療科/脊椎センター

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

中華系の家庭に生まれ、放課後は語学、週末はスポーツや音楽を学びました。両親は旅行好きで、10歳の頃から海外旅行に行き、13歳で初めて一人でシンガポールに行きました。14~16歳のときには日本へ行き、母の友人宅にホームステイしながら日本語と日本文化を勉強しました。チュラロンコン大学医学部を卒業後、医師となりました。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

今でも様々な場所を旅して、新しいことを学ぶのが好きですが、子供の頃、夏に2カ月間アメリカの学校に通った事が思い出されます。そこに住んでいる母の友人がアボカドの農園を持っていて、初めて大きなアボカドを食べました。当時、タイにはまだアボカドがなかったから、英語だけでなく、アボカドの育て方を学んだのが楽しかったです。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

僕は疼痛治療科というあまり知られていない診療科に勤務しています。痛みや苦しみに落胆して、化学療法や放射線治療を受けたくないというガン患者さんを多く見受けるのですが、その痛みを和らげることができれば、治療に来ることに同意してくれるし、大勢の方がガンを克服しています。たとえ治らなくても、多くの方はご家族とともに幸せな余生を送ることができています。

Q4 趣味は何ですか?

とにかく旅行と飛行機に乗るのが好き。新しい文化や物事に触れたりいろいろな国の料理にチャレンジしたりするのが好きです。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

医師を目指すには、多くの努力と忍耐が必要です。どうか辛抱してください、そうすれば人生全てがうまくいくでしょう。

趣味は海外旅行と異文化の体験

家族との写真

Dr. Sarinporn Manitsirikul Tipudom

サリンポーン 先生

脳神経センター

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

チェンマイ大学にて医学博士号を取得。プラモンクットクラオ病院で神経学の学位を取得。その後、カナダのマギル大学で記憶とアルツハイマー病を研究し、米国のハーバード大学ボストン校で経頭蓋磁気刺激の研究を続けました。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

国内外を問わず、有名な先生や教授のもとで学ぶことができるのは幸せです。一緒に勉強している友人も含め、学生の国籍は多様でした。患者さんを助けるために勉強し、さらに知識を得るという目的に加え、他文化についても学ぶ機会となりました。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

私が治療する患者さんのほとんどは、頭痛や脳卒中による衰弱、あるいは記憶喪失に苦しんでします。患者さんとその家族は治療の結果、前向きな気分になり、痛みが治まり、衰弱が改善したとお礼を言ってくれます。この仕事ができることにやりがいと喜びを感じています。

Q4 趣味は何ですか?

趣味は小説を読むこと、子どもができたので旅行に連れて行くこと、乗馬、アイススケート、子育てのエピソードを記録するページを作ること。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

医師という職業は、自分の時間を犠牲にしなければなりません。自分の健康を犠牲にし、睡眠時間を削って患者さんをケアし、新しいことを学び続ける。規律が必要。しかし患者さんが良くなっていく姿を見たとき、親族の笑顔を見たとき、また、突然の脳卒中で倒れた母親を自宅で介護したとき、大きな価値を感じました。

海外留学時代の写真

子供たちと

Dr. Thiravud Khuhaprema

ティラウッド  先生

JMS日本人専門クリニック/ワタノソットがん病院院長

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

1953年パトゥムタニ県生まれ、バンコク育名門トリアムウドムスクサー校卒。日本文部省の奨学金制度で東京医科歯科大学医学部に留学、日本で医師免許を取得し、消化器外科医として臨床経験を積みました。帰国後はタイ国立がんセンターに勤務、2003年から2013年まで所長を務め、2014年1月よりワタノソットがん病院の院長に就任。タイと日本の医療のかけはしとなるべく活動し、阪神大震災ではタイ政府医療チームの一員として現地に2週間ほど派遣されました。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

日本に留学していた頃、中華料理店で食事中に虫が入っていたことがありました。その後、店のオーナーがわざわざ寮まで来て、寮長と僕に謝って、千円を返してくれたのです。日本人のプロ意識と心遣いに感動しました。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

1) カンボジア難民キャンプを訪れた際、イレウスで入院した日本人の報道写真家の手術を行いました。タイ人の医師と医療技術の進歩に感銘を受けた日本の記者さんがいて、毎日新聞に記事が掲載されました。

2) 阪神大震災で救援活動をしたとき、余震が怖くて眠れないおばあさんがいましたが、僕の言葉で安心して眠ってくれました。外国人医師でも、薬以上のもので患者さんを安心させることができるのだと印象に残ってます。

Q4 趣味は何ですか?

がん専門病院の院長として、また日本人専門クリニックでの診察で多忙な日々を送っていますが、仕事以外の趣味はゴルフで、スコアは90を切り今も健在です。カラオケも好きです。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

人の役に立とうとか、生涯勉強を続けようという姿勢のない子には、医師という職業は向いていないと思います。この職業がお金になるかどうかはわかりませんが、人を助けることの価値は大きいと思います。

毎日新聞に掲載された記事

Siroccoで家族と誕生日のお祝い

Dr. Renu Ubol

レヌー 先生

JMS日本人専門クリニック

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

京都大学医学部卒、日本・タイ医師免許保有。マヒドン大学医学部在学時、日本の文部省から奨学金を得て日本へ。京都大学医学部を首席にて卒業。現地で1年間、産婦人科に勤務し、タイへ戻る。バンコク病院では内科医として28年間、日本人の治療に携わっており、在タイ邦人への治療と援護を行ってきた功績を称えられ、2009年、日本の外務大臣表彰を受賞。2015年には春の外国人叙勲で旭日双光章を受章。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

京都大学医学部時代、英語の参考書もあるにはあったが、日本語の教科書を使い、日本語で習うことに徹しました。言葉のハンディがある外国人は日本人以上の勉強時間が必要となります。勉強時間を確保するため、ダンス部を退部し、同級生にノートを借りて勉強に没頭。首席で卒業することができました。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

バンコクで心臓病を患った60代の患者さん(日本人)の受け入れです。病院で治療を受けて退院、自宅療養となった時、帰る先がない、という問題が発生。介護施設で引き受け、入院中、患者さんに代わって日本の年金の状況を確認。最終的には受給できるようになり、金銭的な問題も解消しました。

Q4 趣味は何ですか?

読書、旅行、植物をボトルで育てること(植物組織培養)。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

医師という職業は、体力、精神力、忍耐力、学ぶ決意を必要とします。どうすれば病人を元気にきるのかどうすれば病気から回復できるのか、病気を完全に治すことはできないかもしれませんが、患者さんが病気と共存していくために、納得のいく工夫をしなければなりません。

2015年春の外国人叙勲で旭日双光章を受章

趣味の植物組織培養

定期的に日本を訪れている

Dr. Tarinee Sa-nglampornpanit

タリニー 先生

眼科レーシックセンター

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

マヒドン大学ラマティボディ病院医学部卒業。2006年にオーストラリアのシドニー大学眼科病院で角膜と屈折矯正手術の研究を続け、米国ボストンのマサチューセッツ眼科耳鼻科病院で人工角膜の研修を受けました。その後バンコク病院に眼科医として勤務、2019年に眼科・レーシックセンター長に就任。2012年よりフェムトレーシックとReLEx smileの認定医に。レーシックとICLは17年以上の経験を持ちます。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

シドニー留学は挑戦的で楽しかったです。最初は言葉や外国での生活に慣れるのが大変でしたが、幸運なことに私をサポートしてくれる良い先輩や教授に恵まれました。オペラハウスは病院から歩いてすぐですし、仕事以外の時間は植物園でのんびり過ごしました。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

手術後、よく見えるようになった患者さんの笑顔を見ると、医師としての幸せを感じます。例えば、よく見えない高齢の白内障患者さん。手術の後に生活の質が向上し、旅行が楽しくなったそう。レーシックやICLの手術を受けた患者さんは、眼鏡なしで生活することができて便利だとおっしゃいます。ダイビングが趣味の方も、以前はサンゴ礁を見ることができませんでした。今では夜間のダイビングでもはっきりと見えるそうです。

Q4 趣味は何ですか?

旅行が大好きで、海、山、国内、そして時には海外へ行きます。ソーシャルメディアが大好きで、10年前からFacebookを使用。コロナ時期にはYouTubeチャンネルを立ち上げ、新しいことに挑戦し続けています。自分でビデオを編集したり、新しいアプリの使い方を学んだりしています。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

私の両親は医師だったので、幼い頃から医師の仕事に触れることができたのは幸運でした。勉強は大変かもしれませんが、患者さんの命を預かるわけですから自分にも他人にも責任を持つことを学びます。私は医師としての仕事に誇りと喜びを持っています。

2020年に日本を旅行したときの写真

白内障手術時の写真

Dr. Pakin Kaewpijit

パキン 先生

心療内科

Q1 ドクターの経歴と専門科を教えてください

マヒドン大学シリラジ病院医学部を卒業。そこの後、精神医学の勉強を続けた。最初は神経科医になるために勉強するつもりだった。医学部を卒業するまで、選択科目や追加の授業があるときはいつも、人間の行動に関連する神経学を勉強していた。ある教授が、精神科医になるための勉強をするよう僕を説得した。一瞬ためらいましたが、結局は・・・・・・教授に説得されて精神科医になった(笑)。

Q2 学生時代や留学中、楽しかったエピソードを教えてください

入学当初、僕は面接が苦手だった。当時は言葉、表情、しぐさなどすべてに緊張していました。精神科を訪れる患者さんは、一般的な相談から重い病気の方まで幅広く、年齢もさまざまです。私たちは学習システムのおかげで、感情を理解することができます。実際に人と接することで、自分自身も成長できるのです。

03 今まで出会った患者さんの中で、とくに印象深かった方のエピソードを教えてください

TMS(経頭蓋磁気刺激法)を重度の慢性うつ病で、定期的に勉強を中断していた若い学生の治療に使用した。主治医である精神科医はさまざまな方法で治療を試みたが、治療結果は芳しくなかった。この青年がTMS治療を受けて、症状は大きく改善され、最終学年には卒業できるまでになった。もう一人は、10年以上拒食症に苦しんでいる男性患者で、来院当初は背骨が明らかに膨らむまで痩せていたが、慢性化すると治療が難しくなる。食欲もなかった。個人心理療法と家族カウンセリングが行われ、約2年後、患者の状態は大きく改善した。

Q4 趣味は何ですか?

水彩画を描くのが好き。友達のアートスクールに通って、子供たちと一緒に絵を描く。ヨガやランニング、水泳も好きです。運動は身体と脳の強化に役立つ。読者の皆さんには、自由な時間に活動や運動をすることをお勧めしたい。

Q5 医師を目指す子供たちへ、メッセージをお願いします

子どもたちには自分らしくいてほしい。あえて自分で選び、自分で決める。大人がサポートし、アドバイスする中で、医師になりたいのであれば、熱心に本を読まなければならない。常に人の命を預かる私たちの職業では、自分の人生や周りの人の人生について学ぶことが大切です。

趣味の水彩画

ストレス解消には運動がお勧め

TSM療法の模擬写真

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by WOM 編集部

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